私は何も持たなかった。そう……あの時までは。
この依頼を請けなければ、今の戦闘スタイルは得られなかったかもしれない。
あの時、あの戦闘に敗北しなければ今の私はなかったかもしれない。
グレートウォールにあるガーランド側の前線基地で、あの機体に敗れるまでは。
依頼名 敵施設偵察
依頼主 イージス
敵勢力 MT数機、他不明
場所 グレートウォール
契約金 0C
成功報酬 0C
内容 「ガーランド社の前線基地への偵察を依頼します。
敵勢力は可能であれば撃破してください。報酬は撃破数に応じて増額します。
報酬相応のはずです。それでは成功を期待してます」
「偵察で報酬相応? となるとMT数機かな……」
ケイジ支給の延長線に過ぎない現在の機体構成では、精々MTを倒すことくらいしかできやしない。
報酬は不確定だが、ケイジでの地位や実力から外れるような依頼は多くない。
危険度が高くない……その認識が甘かったことは数時間後に思い知らされることになる。
大量の雪が吹き付けるグレートウォールにある、ガーランドの前線基地。
吹雪で視界が悪いなか、ただひとつ完全に確認できるものがある。MTとは明らかに違う人型兵器の存在。
「敵ACが二機? 予想外だな。明らかに役不足……でも見過ごすわけにはいかない」
目の前には灰色の軽量逆間接機体と、赤色の軽量逆間接機体が構えている。
ガーランドのMTも吹雪のおかげで全て確認することは出来ないが、数機肩を並べている。
敵は決して多いとはいえないが、個々の性能が高い。ガーランドのMTも初期型とは言え、悪いものではない。
《スリートゲイザー》は少し後悔をしたが、出来る限りのことはしよう。そう言い聞かせながら、戦術を考えた。
戦力面で勝ち目がない。なら――
《スリートゲイザー》は専用回線を開き、オペレーターと連絡をとった。
「オペレーター、輸送ヘリを回収ポイントまで出して」
「了解しました。暫くの間持ちこたえてください。10分も待てば十分でしょう。
無理だと思ったら、作戦領域より速やかに離脱してください」
「了解した」
専用回線は開いたまま、公用回線を受信モードへ変更しながら状況確認と戦術を考える。
敵前線基地のマッピング、敵勢力の分析、敵武装の傾向、効果的な戦術、そして逃げ道。
逃げることを考慮した依頼は初めて請けるので、確認することはこれ以上に多い。
まずは最も敵戦力の中で脅威となるACの情報を確認する。
灰色の逆間接《エアロンド》の武装は、右手にグレネードと左手に大型のガトリングガンと強力な武装をしているが、
軽量腕部のため当たり所次第では武装を無力化できる。
そして赤色の逆間接《プリンシパリティーズ》の武装は、両手にマシンガンと両肩の小型ロケット砲。
《エアロンド》と同じく軽量腕を装備しているため、腕部は細く防御性能は低いが両手を破壊して終わりというわけには行かず、
こちらの方が面倒なことになる可能性が高く、厄介な相手になる。
更にガーランドのMT…初期型のレグルスが複数機。
この状況から、数を減らす意味でレグルスから先に仕留めることにした。
逃げることを前提とするのなら、距離を取って着実に一機ずつ破壊していけば良い。
そう思いレグルスにロックオンサイトをあわせ、ライフルを撃とうとした矢先――
「……え?」
RADAR ERROR
SYSTEM ERROR
OPTIMIZING
警告音と共に、《シルバーメイデン》のレーダーにノイズが走り、ロックオンゲージが消失する。
レーダーとロックオンサイトが無効化されたことと同時に、
灰色の軽量逆間接機体《エアロンド》と赤色の軽量逆間接機体《プリンシパリティーズ》が空を舞い、
《シルバーメイデン》の頭上から《プリンシパリティーズ》は両手のマシンガンを、《エアロンド》はグレネードライフルとガトリングガンを浴びせる。
上空からの弾幕に加えて、地上に居るレグルスからの射撃により逃げ場は殆ど無い。
地上ブーストを駆使しつつ回避運動を取ったが、回避しきれずに右腕部にグレネードが命中し、右肘の間接周辺が吹き飛んだ。
加えて、頭部周辺にマシンガンの弾が直撃し、頭部が半壊状態になった《シルバーメイデン》。
そのため安定性能が低下し、着地時の反動を吸収しきれずに機体が硬直する。
機体が硬直している一瞬の間も、容赦なく弾幕が《シルバーメイデン》を襲う。
ACには衝撃をいくらか吸収する機能があっても、限界がある。
「甘く見すぎた……!? これじゃ10分なんて持たない!」
《スリートゲイザー》は焦りを抑えながら、モニターで機体の損傷度をチェックした。
予想以上に高い損傷度から、再度戦術を考え直すことにした。
頭部 : CR-H69S 20%
コア : RAKAN 60%
腕部 : CR-A82SL 0%/70%
脚部 : CR-LH74M 80%
ブースタ : B05-GULL GREEN
ジェネレータ : G01-LOTUS GREEN
ラジエータ : CR-R92 GREEN
FCS : MF02-VOLUTE RED
左肩武器 : CR-WB69RA RED
右腕武器 : CR-WR69R 武装放棄
左腕武器 : WL01LB-ELF GREEN
頭部カメラは既に破壊され、コアのサブカメラを使用しているため満足に視界を確保することができず、
ECMによってレーダーは潰されている。
その上主力となる右手武装が破壊され、敵ACに対して為す術がない。
敵ACも常に空中に浮いているわけではなく地上に降りるときもあるが、現在の武装で攻めようにも蜂の巣にされるのがオチだ。
落ちているライフルを左手で拾うが生憎このライフルは右手専用な上、既にブレードを装備しているおかげで武装として認識されない。
これ以上の被弾をすると、逃亡どころか生き残ることすら難しい。
今は上空から降り注ぐ金属の雨を必死に回避することと、地上からの手数を減らすことしかなかった。
目の前のレグルスに向かって斬りかかり、徐々に地上に居る敵を減らしていく。
その間も二人が撃つマシンガンの着弾地点を、現在降り注いでいる位置と現在位置から判断しサテライト機動を行うが、
《ライオット》と《ジークルーネ》から見るロックオンサイトには長時間収まったままだった。
ECMによりまだレーダーが復帰せず、攻撃しようにもブレードのみでは困難を極める。
この状況が変わるまで耐えるしかなかった。
やがてECMの有効時間が経過し、レーダーが回復した。
それと同時にACからの攻撃は止んだ。
しかし、MTからの攻撃は未だ続いている。
レグルスは残り一機……この程度なら十分に回避可能だ。
上空に漂いながらも攻撃を仕掛けない二人に対し、《スリートゲイザー》は公用回線を送受信可能にし、問いかけた。
「……どういうこと? なに? 情けのつもりか? 殺すなら殺しなさい」
これに対し《エアロンド》のパイロット、《ライオット》が答える。
答えるというよりも、と言うより吼えると言った方が適切だった。
「あァン? 自殺願望かァオイ。生憎だがァ……ゴミ処理に弾なんてねェヨ。
俺が手ェ出すまでもネェ……と思ったが、やるか?」
「やめなさい。ここで無意味な行動をとっても利益にならないわよ?」
「チッ…仕方ねェ。なら手ェ出さずに逃がして……ぁあッ!?」
必要以上に荒い口調で話す《ライオット》と、彼を宥める《ジークルーネ》の会話が公用回線から流れる。
上空で公用回線を通して話す言葉から、一時的にでも攻撃されないと判断した。
ブレードだけでは、現在の実力から言ってこの任務を完遂することはできない。
しかしこのまま手ぶらで帰るわけにはいかない。
そこでとった手段は、オーバードブーストで敵ACの側面に居る最後のレグルスに向かって、地面を滑走するか如く速やかに接近し――
レグルスの横腹にブレードと光波を叩き込む。直後にブーストを吹かして、作戦領域から逃げ出した。
レグルスの胴体は風穴が開き、その場で擱座した。
「テメェッ!」
《スリートゲイザー》の思いもしなかった行動をみて、《ジークルーネ》は驚きもせず機体を止めたままでいるのに
激情に駆られた《ライオット》は、《エアロンド》のコアに搭載されているオーバードブーストを起動させ追いかけようとした。
「深追いしても無意味よ。自分で自分の首を絞めたいの?」
「ヘイヘイ……今はテメェのサポートに過ぎねェからな。仕方ねえ――」
しかし《ジークルーネ》に抑えられて仕方なくオーバードブーストをキャンセルし、機体を止める。
《ライオット》も諦めたような口ぶりで呟き、《エアロンド》を基地へと反転させる。
作戦領域より離脱した《スリートゲイザー》は、既に開いている専用回線からオペレータへ話しかける。
「こちら《スリートゲイザー》、作戦領域より離脱。任務完了」
「了解しました。すぐにそちらへ向かわせますので、暫くそのまま待機していてください。お疲れ様でした」
「了解」
どちらも簡潔に用件を話し、通信を切る。
後は輸送ヘリが来ることを待つだけしかなかった。
待機している間、報酬について考えてみた。
敵MT三機の撃破分の報酬は、機体の修理費により殆どが費やされ、手元には僅かしか残らないと予想される。
このままでは満足できるものまでは届かない。どうすれば強くなって、稼げるようになるか。
……先ほどの敵ACの戦闘スタイルなら、自分の機体でも十分にできる。
上空に位置取る事で、地上に居る敵からは視界の確保が困難になる。決して悪い戦術じゃない。
最初は真似事でもいい。そこから自分の力になって、より多く依頼を成功させるなら満足だ。
そこまで考えたところで、輸送ヘリが到着した。
今回のみ登場するゲスト機体。ライオットが駆る機体エアロンド。
空中戦を得意とする対単体戦闘用軽量逆間接。
瞬間火力は高いが、異常なまでの弾数の少なさから長期戦に不向き。
機体名 エアロンド
頭部 : CR-H95EE (0/10/0/0/0)
コア : CR-C84O/UL (0/10/0/0/0)
腕部 : CR-A94FL (0/10/0/0/0)
脚部 : CR-LRJ84M (0/0/0/0/10)
ブースタ : B02-VULTURE (0/10/0/0)
ジェネレータ : FUDOH (0/10/0)
ラジエータ : R03-LINDEN (0/10/0)
FCS : CR-F73H
インサイド : HOHSHI(ECMメーカー)
エクステンション : NONE
右肩武器 : NONE
左肩武器 : NONE
右腕武器 : CR-WR81G(大型グレネードライフル)
左腕武器 : CR-WH79M2(ガトリングガン)
右格納 : NONE
左格納 : NONE
オプショナルパーツ
O01-AMINO
CR-O69ES
CR-O69SS
CR-O71EC
O03-CODON
MARISHI
ASM CODE : &LA500c2w03ME01U00aoa062wka2Ew006xs0u411#
シェイド氏のOVA-NB投稿キャラ、ジークルーネのプリンシパリティーズ。
両手のマシンガンとEOコアにより、高い瞬間火力を備えた軽量逆間接。
機体名 プリンシパリティーズ
頭部 : CR-H69S (0/0/0/0/0)
コア : CR-C98E2 (3/4/3/0/0)
腕部 : CR-A92XS (5/5/0/0/0)
脚部 : CR-LRJ76 (0/3/3/0/4)
ブースタ : B01-BIRDIE (0/10/0/0)
ジェネレータ : CR-G78 (0/10/0)
ラジエータ : ANANDA (0/5/5)
FCS : MF03-VOLUTE2
インサイド : NONE
エクステンション : NONE
右肩武器 : CR-WB69RO(小型ロケット砲)
左肩武器 : CR-WB69RO
右腕武器 : CR-WR69M(マシンガン)
左腕武器 : WL06M-FAIRY(マシンガン)
右格納 : NONE
左格納 : NONE
オプショナルパーツ
O01-AMINO
CR-O69ES
CR-O71EC
MARISHI
ASM CODE : &L2000ed303Bk01Q3c4ca022wo5l00dCOxo0q018#
| 広告 | [PR]ヒートテック 花 転職支援 わけあり商品 | 無料 チャットレディ ブログ blog | |