OVA-LR 紹介小説(スリートゲイザー)

人は誰だって昔を思い出し、感傷に耽るときがある。
過去を思い出し、目的の原点は何だったか再確認することで気を引き締め、再度見失いかけた目的に向かうことができる。

自由と言う目的のために、傭兵という手段を選ぶ。
それが一つの選択だった。

いや、当時の自分にはそれしか選択肢が残されていないと思い込んでいた。
クーロン大学へ進学しようとしたが、二浪したことで進学することを諦め、人生すらも諦めようと思っていた。
しかし、まだ諦めるには早い。一度だけ耳に挟んだことがあった。
一流企業の重役並……いや、それ以上に金を稼げる仕事のことを。
表向きには「民間警備支援サービス」と呼ばれるシティガードのような存在だといわれているが、それは違う。
レイヴンと呼ばれているその存在は、なろうと思えば誰にだってなれるものらしい。
しかし傭兵が、誰にでもなれて誰にでも続けられるものだろうか。
恐らくは違う。なること自体は出来ても、生き残ることは至極難しい。
それにレイヴンになれば市民IDを剥奪され、「存在しない人」になってしまう。
しかしそれでも試してみる価値はある。どうせ諦めかけていたことだ、これで成功したのならそれで十分だ。

弱者のままでは、生き抜くことは出来ない。
そのままでは、強者に蹂躙されるのみ。
強者に蹂躙され、惨めな生き方をするのなら自分に価値はない。

強者から自分を守り、自由を得るためには金が必要だ。
金さえあれば力だって買えるし、自由だって買える。
それが今の自分にとって最善と判断した私は、レイヴンズ=ケイジと呼ばれるネットワークへアクセスした。

現行最強と言われている兵器アーマード・コアを駆り、危険と引き換えに法外な報酬を得ることができる傭兵。
それが強者になるための手段。目的のための、最良の手段だと判断した。
間違っているわけではないが、正しいわけでもない。
しかし成り上がって自由を得るためには、他に方法が思いつかなかった。
喰われる側から喰う側へ、少しでも早くたどり着きたい。
そんなことを思いながら、当時は動いていたのだろうか。
20のときから親の前から姿を消すことになってしまったが、両親はどう思ったのだろう。
全く親不孝な奴だよ……私は。


傭兵となってから、今で七年程度。自由と言うものは得られたのか。
それは分からない。籠の中での自由、つまりは不自由の中での自由なら得られた。
依頼を請ける請けないも自由、得た報酬を何に使おうと自由。
しかし、市民IDを失ったことで自由を失ったとも言える。
自由を得るにはそれなりの代価が必要だ。それが傭兵としてのリスクと、市民ID。
レイヴンでありながら本物の市民IDを持っているものなど、一握りのランカー程度だろう。

数年前にレイヴンズ=ケイジが突如消滅し、依頼を請ける手段を失った。
偽造市民IDについては今のところ問題はない様子だが、いつ効果を失うか分かったものじゃない。

そんなときに三大企業の傘下であるAC部隊、C-LAWS隊長のゼカリアからの誘いがあった。
内容はこうだ。


送信者:ゼカリア
『突然だが、君の力を貸して貰いたい。
制約として三大企業連合体であるトリニティへの絶対服従と、任務の拒否権は与えられない代わりに、
企業に追い回されることもなく、ケイジ時代と変わらない条件で依頼を斡旋しよう。
この条件だ、断る理由は無いだろう? それでは君の返答を待っている』

拒否権が与えられないということは、失敗する可能性があると考えられるような依頼も出される可能性があるということだ。
しかしトリニティとて馬鹿ではないだろう。失敗ことを前提とするような依頼は斡旋しないはず。
それに、一人で出来ないのなら使えそうな僚機を頼めばいい。
ある程度考え、その結果利益があると判断し、ゼカリアへ承諾の返信を出した。

送信者:スリートゲイザー
『お誘い有難う御座います。
快く承諾させていただきますので、以後よろしくお願い致します』

さて、不安定な在野生活もお別れで少し気が楽になったが、やることは今までとなんら変わらない。
依頼主が武装勢力のゴロツキから企業に変わるだけだ。
そう考えているうちに早速、新着メールと依頼が一件ずつ届いている。

送信者:トリニティ
『ようこそトリニティへ。早速だが、君に任務を与えよう。
我々に従わない武装勢力を始末しろ。これは依頼ではない、命令だ。
保身のための代価としては当然のものだ。君に選択の余地は無い。以上だ』

依頼主:トリニティ
前金:0c
成功報酬:0c
作戦領域:ガレル砂漠
成功条件:敵勢力の殲滅

此処でふと自機のアセンブリを調整するいい機会だと思った私は、各パーツの見直しをすることにした。

頭部は、より正確に情報を伝えてくれる高性能CPUと各機能を備えた H11-QUEEN のままでいい。
生体センサーは無いが、先の大戦でバグは大幅に減少若しくは絶滅したと思われることから必要性は薄い。
同じような機能がありながら価格が安い CR-H06XS-EYE4 の方が効率は良いが、
あれは試作品のため生産数が少なくそう簡単に入手できるものではない。

コアは自分のスタイルをより活かす為に、汎用性の高い RAKAN よりも瞬間的なOB性能に優れた C03-HELIOS を選んだ。
YC06-ICUROS も基本性能が高く、OB性能が RAKAN と比較して高い。
しかしこれも試作品のため簡単に入手できるものではない。
自分の身を預ける機体に対して妥協するのは良いものではないが、自分の懐の余裕とパーツ流通量から考えると妥協せざるを得ないのが現実だ。

腕部は、装甲の脆いコアを守るために軽量でありながら装甲に程度余裕のある A11-MACAQUE のままにした。
腕部の中では高価な方なので破壊された場合のリスクは大きい。
しかし、自分のスタイルは両腕のみにしか武装していないので、破壊されてしまえば買い替えのリスクだけではなく戦闘自体も厳しくなる。

脚部は、使い勝手の関係から今までの通り、軽量二脚を選んだ。
背後を取るために必要な旋回性能では四脚、上空を取るために必要な跳躍性能は逆間接に劣るが、
持ち前の軽さを活かした軽量二脚なら、自分の熟練度から言えば性能を遺憾なく発揮できる。
逆間接の跳躍性能と四脚の旋回性能を併せ持つ YLH11-VIXEN を使いたかったが、あのパーツは流通量が少なく一度だけ特別報酬として貰ったきりだ。
そのため長期戦に耐えることができ、且つ手頃に修理ができる中堅クラスのパーツ LH06-JAGUAR を選ぶことにした。

今までのようにECMメーカーに頼り切った戦い方では、これ以上の力を得ることは難しい。
しかし、今までのスタイルを根底から否定するのではなく、新たなスタイルを身につけることで更に力をつけようと考えた。
そのための戦術と機体を更に改良する必要があった。

マシンガン・ハンドガン・ECMメーカーと、総合的に見れば弾薬費が酷くかかる。
確かにこの組み合わせなら、近接射撃戦は優位に立てる。しかしそれだけでは効率的とはいえない。
同じ近距離武器であるガトリングガンやショットガンと比較して、瞬間火力に劣るが継戦能力に優れる武器は何か。
それはブレードだ。相対速度の関係から、対AC戦では熟練した腕を持つ者しか扱うことは出来ないが、
ガードメカやMT相手なら少しの慣れさえあれば問題は無い。
近距離でのブレードがあれば、対AC戦以外では十分に活躍できる。
エクステンションのマルチブースターを併用すれば、使い道も大きく広がる。

それでは、対AC戦というアクシデントに遭遇した場合の武装はどうするか。
持久戦に耐えることができ、なおかつ軽量で動きを妨げないもの。
今まで使ってきた WR07M-PIXIE3 は、軽量で持久性に優れる等殆どの条件を満たしている武器だが、弾薬費が馬鹿にならない。
そこでENライフルやパルスライフルという選択肢も考えた。
光学兵器特有の弾薬費がかからないところは評価できたが、空中戦を主体とする戦闘ではジェネレーターに余分な負荷はかけたくない。
弾薬費が比較的低く軽量なものの代表であるハンドガンも考えたが、コアの格納機能が無いため持久性という点で問題が残る。
ここは基本に立ち返り、ライフルを選ぶことにしてみた。瞬間火力は低いが、それ以外なら文句は無い。
新人レイヴンに与えられる機体が何故ライフルなのか。それはやはり無駄撃ちが増えて弾薬費が嵩んでしまうからだろう。
突き詰めた使い方をしたなら、確実に標的に損傷を与え尚且つ弾薬費を抑えることができる事の裏返しではないだろうか。
今の私なら、単位時間当たりの火力が低くても目標破壊に手間取って修理費が増えることはない。
以上の考え方から、CR-WR73R2 を選ぶことにした。

しかし単位時間当たりの火力が必要となる場面は必ずあるはず。
そう考えて、左手銃についても考え直すことにした。
CR-WH79H3 は弾数に優れるが、命中精度が優れていると言えず、威力が低く熱量を重視している特殊な弾薬を使っているためか弾薬費がかかる。
WL10H-MIST2 はまだ実戦で使ったことはないが、カタログ上では速射性と命中精度に優れている上、CR-WH79H3に比べて弾薬費も半分で済んでいる。
表面上のスペックでは WL10H-MIST2 と比較すれば CR-WH69H の方が高いが、命中精度ではこちらの方が勝っている。
つまりは限りある弾数をより有効に使用することが出来、結果的に弾薬費を抑えることが出来る。
両手対応の武器ではないため、右手で持って使うことができなくなるが、
状況からしてみると左手から右手に持ち替えることなど、腕部を破壊されたとき以外そうそうあるものではない。

長い考察を終えアセンブルを変更した機体は、前と似ているが違う。
違うと感じるのは、戦術が違うからだろうか。
フレームや内装が大して変わっていなくても、武装と運用方法が違えばそれはもう別物になる。
状況によって使い分けたいが、今回の武装はどちらにしよう。
敵勢力と言っても数は不明、最悪のアクシデントであるACの存在も不確定のまま。
長期戦が予想されるのならブレードを持っていった方が安全だし、
火力の高い敵が少数の場合はダブルトリガーで片をつければいい。
アセンブルを生かすためには、戦術だけではなく戦略も知らなければ話にならない。
数年前にあるランカーとの共同ミッションで学んだことだ。
地形や敵勢力の詳細、増援の可能性……後は何だ。相手の動きの予想か。
まだまだ考える余地がありそうだ。


言い訳 06年11月
なんというか、パーツ話はアレです。
極端に弱体化させたのをムリヤリこじつけて書いてるだけなんで、はっきり言って後から読んでるとだれます。なりましたよね?
参加企画ですし、強パーツっぽいの使ってると強キャラ厨とか思われるの嫌なんで真ん中が言い訳っぽい感じにくどく書いてます。
そうでもしないと、割り切れないんです。

アーマード・コアTOPへ戻る
TOPへ戻る
広告 [PR]ヒートテック  転職支援 わけあり商品 無料 チャットレディ ブログ blog