V4師団の拠点のひとつである建物の中で起こったことだった。
真夜中に怪しげな物音がしたため、目を覚ましたアンソレンス。
隣の部屋の扉を開け覗いてみると、そこには二人の姿が見えた。
鎧を着用したままベッドに仰向けになり寝ている少女と、悩みながら衣装を選んでいる猫の格好をした少女の姿が見えた。
片方はレジーナであり、もう片方もMAIDである。
戦闘の最中、レジーナの能力により捕らえたMAIDであり、彼女はディナギアと呼ばれていた。
レジーナはあれでもないこれでもないと、複数の衣装を手にとっては戻している。
同じ事を繰り返しているレジーナに向かって声をかけた。
アンソレンスの声に気付いたレジーナは、楽しげに答えた。
「何してんのよ? こんなところで」
「見てわかんないかニャ? 明日は面白いショーをするための下準備ニャ!」
相変わらずこのMAIDの言うことは理解できない。
その拘束もすぐに解けてしまう。一時的な拘束だけでは、何も意味がないというのに。
そう思いながら、アンソレンスは話を続けた。
「わざわざ捕まえたMAIDに着せ替えなんて。どうせすぐ解ける洗脳なんでしょ?
そんな使えないの、バラしてエサにでもしてしまえば?」
いくらMAIDと言っても、生物には違いない。支配できない存在なら、破壊してもいい。
例え人間であろうと肉片にすることを何とも思わないアンソレンスは、素直に思ったことを口にした。
「わかってないニャァ? これは余裕というものだニャ。我々の……」
そう、確かに余裕である。
わざわざルージア大陸まで出向いて相手をしなくてもいい。
しかし、そのようなことは分かりきっている。
これはあくまで余興なのだ。本来の目的ではない。
その余興を楽しむのが、V4師団のやり方でもある。
楽しむことも必要だという事を、レジーナは説いてみた。
「あー、はいはい、わかったわかった。
で、何を迷ってる? これなんていいんじゃない?」
アンソレンスは、レジーナの言うことを遮り、軽く流しながらも乗り気になってきたようだ。
早速、目に付いたピンクの衣装を手に取り、レジーナに渡した。
「相変わらず、派手な色が好きだニャー? ちょっと着せてみるかニャ?
ちょっと支えているんだニャ」
衣装を受け取ったレジーナは、体を支えられたディナギアに装着されている鎧を脱がせていった。
傍から見ると、非常に怪しげな行為をしていることは明らかだ。
だが、ここで起きてみているのは二人だけ。
ディナギアが起きる気配は一向に無い。そのため、少し遊んでから着せ替えを行うことにした。
暫く体を弄り回しても、まだ起きる事がないディナギア。
アンソレンスは少し飽きてきたのか、用意した衣装をディナギアに着せて部屋を去ろうとした。
「後はそっちでなんとかしといて。寝なおすからあまり音を立てないように。
後、起きたら困るから、寝る前に縛っておいて。
そうそう、そこにある剣、もらっていい?」
折角だから黒い大剣を頂こうかと思ったが、余興に使うからダメだと即答されてしまった。
しかしそのようなことは気にせず、先ほどまでのやり取りを無かったことのように思いながら、部屋へ戻っていった。
登場人物
ディナギア
レジーナ
アンソレンス
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