ガンマンの朝は早い


朝は丹念な備品の仕込みから始まる。
ここで手を抜くと一日が台無しになることはほぼ確実だ。
そのため、朝一番から気を抜くことが出来ない準備が始まる。
折角舞い戻ってきたのだ。故郷の葉巻でも一本嗜みながら行いたいが、事がことなためそれを行えば自殺行為にもなりうる。
事前に干しておいたコートの手入れと、愛銃の手入れ、更に補給の手引きだ。

準備を終えて、朝の巡回が始まった。今回の仕事場は、アルトメリア西戦線だ。
戦線の東西、その範囲はあまりにも広い。巡回し終える頃には、もう夕方である。

今朝は巡回している兵士の姿が見えない。どうしたのだろうか。
昼過ぎになって一人現れた彼に話を聞くと、敵に襲われたのだという。
その敵は小型だが動作の素早いGで、こちらが構えたと思ったら瞬時に体当たりし、そのまま走り去っていくという。
幸い、彼の怪我は比較的軽傷で数日でよくなるとのこと。ここ最近、日に日に敵の数が増えているらしい。

この職業は新人の入れ代わりが激しい。訓練期間を終えたばかりのひよっこは特にそうだ。
三十年この仕事を行って生き延びているベテランは、そう居るものではない。

彼らの仕事を支えているのが私だ。
敵襲があれば即座に駆けつけ、的確に一体ずつ五発の弾丸を兵士が狙っている部位に当て、奴等の瘴気を減衰させる。
高い防御力の源である瘴気を我々の力で剥がし貫通させ、兵士の攻撃が当たるように援護する。
一体の敵を倒せば、空になったマガジンを入れ替え、次の敵に備える。
戦闘になればその繰り返しだ。
この仕事を続けていく際、気をつけなければならないことは注意を絶やさない事だ。
敵味方の数、弾薬、位置、地形、時間、天候、それらの把握を真っ先に行わなければ、すぐに敵に殺されてしまう。

十分な睡眠をとったなら、まだ日も昇らないうちに目を覚ます。
食事は警備している基地で配給されたものが主だ。世間と比べてかなり質素なものだが、これが彼らの食事だ。
連合国リスチアの食事は、兵士が戦場で行う食事とは思えないものだったが、それは例外に等しい。
アルトメリア特有の青白く光るコーラを飲み、英気を養い次なる戦いに備える。
このコーラを飲んだ瞬間、頭部に強い稲妻が落ちたような衝撃を受ける。
角砂糖と同時に飲めば、その衝撃と中毒性は更に強くなる。
この地方の兵士は、このコーラも重要なエネルギー源の一つだ。

今日も私や彼らは、日が昇るよりも早く仕込みを始めた。
明日も、明後日もその姿は変わらない。
人類に平穏が訪れるまでは。


登場人物
パーク
アルトメリア連邦陸軍兵士
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