グラディエーター ロードトゥフリーダム

自らをヘラクレスの化身と称し、コロシアムで戦う暴君と呼ばれる皇帝コンモドゥスと、八百長試合をする事となった剣闘士。
アリーナへと繋がるエレベーターで、一部を鎧に纏っているが殆ど半裸に近い一人の男が立っている。
あれが皇帝コンモドゥスだろう。
ライオンの被りものに、二振りの棍棒……それに加えて、左肩と両足に紫と黄金色の鎧が特徴。
しかし最も目に付くのは、鎧と同じ色をしたパンツだ。
こんな格好を好んでするとは、この皇帝は本当におかしいのではないだろうか。
剣闘士はそう思いながら、エレベーターへと向かった。
エレベーターが動きアリーナへ向かう中、皇帝が剣闘士に問いかける。

「お前が剣闘士か、なかなか良い。このヘラクレスに、勝つつもりでいるのか?」

決まりきった勝負に、抵抗するなど馬鹿らしい。剣闘士は取り繕うように答えた。

「神に抗う術はありません」

「そうだろう。しかし、こちらは全力で行かせてもらうぞ!」

エレベーターが完全に上がり、皇帝と剣闘士は観客の目が注がれる。

敵は棍棒を二丁構えた、攻撃力に優れたスタイル。
こちらは支給品の曲刀と小盾を構えた、攻守を両立させ機動力を確保したバランスの良いスタイル。
まともに勝つつもりなら相手の攻撃を一通り防ぎ、息切れなどの隙をついてから間髪入れずに攻める。
しかし、負けることを前提にして戦うのならば攻めすぎてはいけない。
このことを考慮しつつ、戦うことを考えた。

考え終わった直後、試合開始の合図が始まった。
二人の間にある程度の距離はあったが、皇帝は素早く接近し両手に握られた棍棒で、剣闘士に殴りかかる。
皇帝の左腕から繰り出される一撃目は紙一重で避けたが、右腕からの二撃目は避けきれずに小盾で受け流す。
攻撃を受け流したことで、皇帝の右腕に僅かな隙ができる。
そこで剣闘士は小盾を使い、左腕で皇帝の頭部を殴り飛ばす。
殴り飛ばされた皇帝は剣闘士から見て右側を向き、続いて横腹を曲刀の柄で殴りつけられる。
止めろと叫びながら地面に倒れ、転がり剣闘士との距離をとる皇帝。
いつもならダウンした相手をこのまま追撃するが、今回は起きあがるまで剣闘士も攻めずに息を整えることにした。
皇帝は起き上がり、両の手に握られている棍棒を左右交互に振り回して剣闘士に襲いかかる。
またも初撃は紙一重で避けることができたが、二撃目からは正面に構えた小盾に容赦なく打ちつけられる。
振り回される棍棒は何度剣闘士に向けて打ちつけられ、左手の小盾を吹き飛ばされる。
剣闘士の身を守るものがなくなったと判断した皇帝は、両腕を振りあげて一気に左右の棍棒を剣闘士に突き立てようとした。
しかし、剣闘士が左に大きくステップを踏んで避けたことで、振り下ろされた棍棒は当たらず、大きな隙を作ることになってしまった。
左に回った剣闘士は、皇帝にボディーブローを一発当てて、更に曲刀の柄で強打した。
今度は倒れずに、カウンターとして皇帝は体を捻らせて棍棒を振り回す。
遠心力を付けて威力が跳ね上がった棍棒が、剣闘士の脇腹にめり込み悶絶する。
動きが止まり好機とみた皇帝は、追い打ちとして二本の棍棒を左右に振って暴れた後、最後に左右の棍棒を剣闘士の胸へ突き立てた。
大きな衝撃により、剣闘士は激痛を一瞬感じた後、意識を失い倒れ込んだ。
薄れる意識の中で、微かに聞こえる皇帝の雄叫びと観客の歓声。
力尽きた剣闘士は、医務室へ運ばれていった。


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