大穴の奥は暗いが、明らかに誰かが人工的に掘ったようなものだということがわかる。
その証拠に、一番奥には宝箱がある。しかもご丁寧に罠付きだ。
相変わらずトラップ鑑定に苦しんでいる。どのようにして盗賊やレンジャーは罠を鑑定し、解除しているんだ。
仕方ないので、俺は宝箱を開けた直後に来る攻撃の軌道を予想して回避するようにしている。
俺は箱を開けた瞬間に、右方向に転がった。一瞬虹色の光を見たが、罠の正体はなんだったかはわからない。
が、身体に異常はないということは回避に成功したということだ。
箱の中には羽根帽子と小さな石の弾丸、蘇生薬が二つに犬のぬいぐるみがあった。
犬は真っ白で、鼻だけが黒く長い耳をしている。
ル・モンテスが言っていたスヌープチェリとは、このぬいぐるみのことだろうか。
様々なことが頭をよぎるが、そんなことを考えていても仕方ない。持って行こうじゃないか。
南東の塔を登り、ル・モンテスの住んでいる部屋のドアを叩き開けた。
スヌープチェリについて早速聞いて見た所、持ってきたものは確かにそれそのものだった。
犬のぬいぐるみを渡すと、彼は頬ずりをしながら喜んでいた。
「スヌープチェリ!! ついに我が手に戻ったのぅ!
この鍵を船長の鉄格子のところに持って行き給え。彼を自由の身にすることが出来るじゃろう」
報酬として銀色に輝く鍵を受け取った。だが、船長の居場所がわかっても合言葉がなければ入れない。
そこで、彼に合言葉について聞いてみた。
しかし、部外者であるものに合言葉を聞いても答えられるはずがなく、その彼も例外ではなかった。
ついでにクィークェグが探しているものについて聞いてみても、明瞭な答えは返ってこない。
自分の足で様々な部屋を探し、見つけていくしかないか。
最後に不要物の売却をし、目潰しと眠りの粉を出来る限り購入して塔を後にした。
地下の未踏破部分を埋めようじゃないか。そう思った俺は地下に戻り、北西のドアを開けた。
右には階段の先に鉄格子、左にも鉄格子、行き止まりだ。
更なる地下への階段があるが、まだ踏み込まずに地上へ戻った。
地上の未踏破部分は、ホールの四隅の扉と、水場左右の扉だ。
水場西側はこの前行ったばかりだが、その奥の扉を開いていない。
早速、ホール四隅の扉を鉄の鍵で開けた。どこも腐って壊れた家具ばかり、唯一南東に宝箱が置いてあった。
調べてみると、まだ使える薬や方角の魔法を覚えることが出来る書物、恐怖の魔法を発動できる巻物、ダークが数本があった。
生憎、俺は魔法を使うことが出来ないので魔術師しか理解できない書物は縁がない。こいつは売ってしまおう。
水場西側に移動し、扉の奥を探ることにした。
左側を覗いてみると、食器室だったこの部屋の壁には、石造りの棚が剥き出しで並んでいた。
右側を覗いてみると、古い石の釜戸、崩れ落ちた棚。この調理場では、昔は王室のパーティーの仕度が行われていたのだろう。
しかし、今やその部屋で腕を揮うのは"時間"、そして料理されるのは部屋そのものなのだ。
哲学じみたことを考えながらも、東側の部屋も調べてみた。
壁には、シミのついた腐った布切れがこびり付いていた。
遠い昔、そこにはこの公の間の権威が誇らしげに示す色鮮やかな壁掛けがかかっていたのだろう。
かつては権力の甘美な香りに包まれて居た偉大なる玉座も今や部屋の上座で、果てしない時の流れに責め苛まれている。
まるで、自らの最後の言葉によって衰えることを命じられたかのように。
もしこの崩れ落ちた部屋の色あせた玉座に下された、何らかの裁きが残っているならば、
それは既に形を為さないほど崩れた高座の崩壊の山の中からかき集めなければならないだろう。
そして、それは汚らわしく悪臭を放ち、もはや何の意味も無く涙ながらに奪い去られた栄光を語るに違いない。
王家というものによい感情を抱くことはあまりないが、衰退し成れの果てを見ると感傷を禁じえない。
しかし、ここでこんなことを考えていても仕方ない。奥の扉二つを調べよう。
王の私室であったこの部屋の床には、崩れ落ちた机といくつかの椅子が転がっていた。
この部屋は、協議と金のかかる取引の場だったことは間違いないだろう。
他の部屋同様この部屋も荒れ果てていたが、床から突き出している奇妙な出っ張りが、この部屋に最近正体不明の何かが出入りしたことを示しているようだった。
出っ張りのあたりを調べてみると、床石が持ち上がった辺りに乾燥したオリーブが見つかった。
このオリーブは一体なんだろう? そしてこの下は、あの亀裂が入った天井の部屋。
何かあるに違いない。休憩ついでにこの部屋を見渡すとしよう。
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