俺は地下から南東の塔に登り、あの爺さんのところへやってきた。
そしてドアの前で俺は言った。
「スヌープチェリとはなんだ?」
「スヌープチェリを見つけたのか? 何故それを最初に言わない!! さぁ入った入った!」
老人はスヌープチェリという言葉に敏感に反応し、ドアを開けて俺を歓迎してくれた。
背が高く、細身だが、がっしりした体格の男が近づいてきてこう言った。
「わしはル・モンテスじゃ! スヌープチェリを見つけてくれたかね?」
「いや、残念だがまだみつけていない」
「あぁ、どれほど長いこと探し続けていることか!
もし彼女を探し出してくれたなら、わしが船長を自由にしてやろう。
ただし、スヌープチェリが先じゃ!」
「ところで聞きたいことがある。コズミック・フォージとはなんだ?」
「それはなんのことだ? 知らない。聞いたこともない」
「スヌープチェリとは何だ?」
「愛しいもの! 彼女は真っ白で大きな黒い鼻と長い耳をしておる! 船長がわしから奪い去った!」
「船長とは?」
「我等の呪われた船の船長。七つの海を渡った最も汚らわしき男!
奴は城の地下に閉じ込められてる」
「何か売り物はないか?」
「あるとも! 好きなだけ見て、気が向いたら買っておくれ!」
狭い小部屋には多くの品物が並べられている。
武器や防具、薬に……これはなんだ? 怪しい袋がある。
「それは目潰しじゃ! どんな恐ろしい奴も、目が見えなくなれば赤子も同然じゃ」
聞いたところ、かなり広範囲に目潰しを行うことが出来るもののようだ。
ほかにも痒みの粉、眠りの粉、花火や氷のダガーなど、武器や防具のほかに見たこともないものがある。
武器や防具と比べて非常に値が張るものだが、扱いにさえ慣れれば殆ど外すことなく敵に損害を与えることが出来るらしい。
物は試しだ、10個ほど買っておこう。しかし資金がない。
あの魔除け、調べてみると力尽きたものを復活させるためのものらしい。
一人で来てしまった俺には無縁のものだな。持っていても仕方ない、売って薬や武器を買った方がよほど有意義だ。
こうして、俺は1万以上の金と魔法道具を手に入れた。
クィークェグのところに戻り、十分な薬を揃えておくか。
塔を降りてクィークェグの店へ行き、十分な数の薬を揃えた。通常の傷薬、強い傷薬、毒消し、これだけあれば十分だろう。
次は地下にある南西の大部屋を開けてみるか。
部屋中に人間の体が転がっていた。
一目見ただけでは、皆死んでいるようにしか見えなかった。
大きな物音が聞こえる。
「グーーー、グォーーー」
突然、ドアがピシャリと閉まった!
しわがれ声が吠え立てた。
「おい、オメェ、俺の足からどきなっ!」
気がつかないうちに、男の脚を踏んでいたようだ。
足を踏まれてご立腹の、皮鎧を着たリザードマンが三体襲い掛かってきた。
早速、あの魔法道具を使ってみようか。そう思った俺は、早速痒みの粉袋と目潰しを相手の顔面に投げつけた。
二種類の粉は空中に広がり、相手の露出している肌と目に粉がかかった。
目の前を覆っている白と黒の粉の煙が晴れると、三人のリザードマンは目を押さえながら転がりまわっていた。
皮膚が強いといわれているリザードマンですらこれだけの効果を発揮するのだから、買って間違いはなかったようだ。
これはいい機会とばかりに長剣を相手めがけて何度も振り下ろすが、不規則に転がりまわるためかなかなか当たらない。
三体の敵は、全てあてずっぽにカトラスを振り回してくる。正確性は皆無に等しいはずなのに、何故かこちらによく当たる。
回避運動をとっているのに、その先を読んでいるかのように剣が胴体を叩きつける。
こちらは狙っても当たらなくて、あちらは狙わずとも当ててくる。
その状況に腹立たしさを感じながらも、一人ずつ胴体を足で押さえつけることに成功し、動けなくした相手の首に長剣を突き刺した。
どうも正攻法ではない気がする。三対一では、こうしなければ生き残ることはできないが、やはり不満は残る。
正々堂々などという綺麗事ではなく、自力で何とかしなければ更に多くの敵が現れたときに対処ができない。
一時しのぎのような戦闘手段に頼らず、純粋な戦闘能力も鍛えなければ。
そう思いながら転がる死体を横目にし探索していると、左手にドアを二つほど見つけた。
左右のドア、開けてみると一見何もないように思える。しかし、右側のドアの奥にはスイッチらしきものがある。
これを押すとどうなるだろう。隠し扉でも出てくるか、それとも真下に落ちるか。
多少の不安を抱きながらも、ボタンを押した。
石壁は沈み、通路が現れた。通路の奥を通ってみると、まるでそこは倉庫のようだった。
かつては武器棚が、この小さな部屋の壁に並んでいたらしいが、今はそれも崩れ落ち、朽ち果てている。
向かい側の壁際には、残骸が山のように積み重なっていた。
部屋を見渡すと、大きくて重そうなキャンバスの布が被せられている巨大な木箱を見つけた。
布も木材も崩れかけており、その下にある何やら人型のものの外形が浮き出ていた。
ボロボロになった布を丁寧に木箱から剥がすと、下から騎士の死骸のような物が出てきた。
しかし、よく見てみると、それは鎧を置くための人型で、城を立ち退いたときに置き去りにされたもののようだった。
その身に着けているものを調べてみると、まだ使えそうな鎖帷子と、紋章のついた盾が見つかった。
少々大型の剣もある。両手剣とまでは行かないが、片手剣より大きい。
確かに威力は高そうだが、重くて手に馴染まない。これを使うなら、あの店にある大型剣を使った方がいい。
長いこと放置してあったというのに、サビや刃こぼれがない。これならクィークェグも高値で買い取ってくれるだろう。
そう思い、俺は部屋を出て、すぐ隣の部屋にいるクィークェグにバスタードソードを売りつけようとした。
こいつに見る目が無いのか、それともこちらの足元を見ているのか、金貨百枚にも満たない値段で買い取ってやると言ってきた。
あのイカレた爺さんにでも売りつけてやろうか。しかし、あの爺さんに武器防具の価値がわかるのだろうか。
あそこで売るか。そう思った俺は交渉を断り、クィークェグの店を後にした。
この地下、まだ開いていない扉は7つ。そのうち一つは船長の部屋だ。
鍵は銅の鍵が四つ、鉄の鍵が二つ、銅の鍵を使って開かなかったので、鉄の鍵を使ってみるか。
クィークェグの店から出て、右に曲がり、ドアを開けた後に右に曲がって鍵のかかったドアに鉄の鍵で開錠を試みた。
ドアが開いた。部屋を覗いてみると、向こう側に朽ちた机が崩れ落ちている。
明らかに真ん中辺りが叩き割られ、その周りには、かなりボロボロになった書類が散らばっている。
どうもそれは何か法的な文書のようで、罪状と処刑命令が書き記されていた。
調べてみると机の下の小仕切りの中に、鍵が一つ隠れていた。
恐らくこの鍵は、近くにある鉄格子を開ける為のものだろう。
早速、鉄格子の鍵穴に鍵を差込み、格子の先に進んでみることにした。
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