地下室で寝るのはやはり気分が悪い。それに加えて、男の死体が二つもあるなんて嫌な目覚めだ。
こんなところに居ても仕方ない。探索を続けよう。
俺は北東の小部屋……いや、大部屋を出て、南東の大部屋に踏み入ることにした。
この部屋にあるものと言えば、部屋中に散らばっている簡易寝台の破片だけだった。
「ちょっと待った!」
「誰だ!?」
何か、物音が聞こえる。俺は反射的に叫んだ。
すると、物静かで神秘的な暗い感じの男が影の中から現れた。
「掘り出し物に興味はないかね?」
どうやらこの男は俺に敵意を持っていないようだ。
「いきなり驚かせてすまない。アンタは?」
「俺はクィークェグ、どうして欲しい?」
どうして欲しい? か……そうだな、色々と聞いてみようか。
俺はクィークェグと名乗る男に様々なことを尋ねた。、
「コズミック・フォージというのを聞いたことはあるか?」
「それは何のことだ? 聞いたこともない」
「何か面白い話はないか?」
「いかれたフランス野郎が塔に住んでいる! 名はル・モンテス。
船長にお気に入りを取られていかれちまったんだ!」
「あの塔にいた爺さんか?」
「あのフランス人はイカれてる。船長があいつのお気に入りを取ったんで、
あいつは怒って、船長を閉じ込めた」
「お気に入りは何処に?」
「ル・モンテスのお気に入り! 確かスヌープチェリとかなんとか。
フランス人はまだ探してるぜ!」
「船長とは?」
「『船長のねぐら』のボスだ。かなりやな奴だ。
イカれたフランス人が『船長のねぐら』の中に閉じ込めた」
「『船長のねぐら』とは?」
「酷い評判のみすぼらしい巣窟だ。ここから遠くはないが、入るには合言葉がいるぜ」
「合言葉を知っているか?」
「合言葉は教えてやるよ。ただし情報が先だ」
「それは構わないが、情報とは?」
「船長は宝をどこかに埋めちまったんだ! そいつを聞きたいのよ!」
「宝が無ければ合言葉も無しだ! 船長は宝箱を何処に埋めた?」
「すまない、俺にはわからない」
「そうか…ところで、神秘の油は要らないか? 絶対に、損はさせないぞ…」
「神秘の油? 何に使うんだ?」
「この先で必要になるはずだ。他にも品物はあるぞ。見ていかないか」
クィークェグは、荷物を広げて様々な品物を床に陳列した。
壷に入った緑色の液体、これが神秘の油か。別に今買わなくても支障はないはずだ。この次にしよう。
他には、薬に巻物、様々な種類の武器、それに様々な防具がある。
俺は大きな剣とクロスボウに目が行ったが、今はまだ金銭的にそんな余裕はない。今度あったら買おう。
資金の全額を使って皮で作られた履物、皮の兜、手甲、皮のホーバーク、皮のゲートルを購入し、
途中で資金が足りなかったので、カビの生えた皮の胸当てを売却した。
こんな粗悪品でも買い取ってくれるなんてな。防具は何度も補修されたあとがある。多分、こいつが直したのだろう。
傷薬の一つでも買っておくか。今使っている長剣があまりにも刃こぼれしないことから、スペアの剣を持つ必要がない。
そう感じた俺は、今まで使っていた武器防具を売り払った。
売り払って身が軽くなったのはいい。しかし、思ったほどの額にはならなかったため、弱い傷薬すら買うことが出来なかった。
価格交渉もしてみたが、びた一文譲るつもりはないようだ。
直接的な交渉でダメなら、世間話を混ぜてみるか。
「そういえばアンタ、この城をうろついている男達に襲われないのか?」
「ああ、するさ! 普通なら奴等でも分別を弁えてるらしく、商売相手には襲うことはない。
だが、一部のバカげた奴は品物を取ろうと躍起になって襲い掛かってくる。
色々と対策があって、奪われたことはないがな!」
「そうか、そいつらの身包みの分儲けてるなら、少しくらい負けてくれてもいいよな?」
「それとこれとは話が別だ。こっちも必死なんだ」
予想はしていたがダメだったか。
「それなら仕方ないか。金もなければ物は買えない。また来るぞ」
「またな…」
俺はクィークェグが商売をしている部屋を後にし、南東の塔に居るイカれたフランス人に会いにいった。
お気に入りについて仄めかせば、話くらいは聞いてもらえるだろう。
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