洞窟の中は相変わらず薄暗く、ところどころに光が差さない暗闇も存在する。
そして、その光の差さない場所の中にスイッチがある。
この採掘場を作った奴等は悪趣味としか言いようが無い。
スイッチというのが、意図的に物を隠すためのものなら最適ともいえるが、探索者にとっては意地が悪いとしか言いようが無い。
自らつけた地図を確認し、恐らくこれでこの階層は、全て探索し終えたことを確認した。
ただ、北東部にある鉄格子二つが気になるが、それは後回しだ。
自ら歩き書き記した地図を広げると、13ある下り階段があるのを確認した。
いったい何処から潜ろうか。一瞬考えたが、どうせ全て下らなくてはいけない。
そう思い、一番北から潜ることにした。
細い通路に一枚の木のドア、そしてその先には小さな部屋。そこには青い植物が生えていた。
それはゴムのようにしなる体で、まるで先ほど遭遇した人食い草のような容姿だ。
わざわざ危険を冒して、この避けることが出来る戦闘をする必要は無い。
そう考えた俺は階段を登り、地下二階を後にした。
次に、近くにある西の方向にある階段を下ることにした。
数十フィート歩いたところにまた下り階段を見つけた。まだこの下に踏み込むのはやめておこう。
そう思った俺は、下り階段の分岐点を左に曲がり、周囲の探索を始めた。
歩いた先には、下り階段が更に一つ、登り階段が一つ。階段を登ると、下りのときに使った階段と非常に位置が似ている。
この様子だと、13全ての下り階段は全てが全て独立した場所に繋がっているわけではない。そう思った。
更に西の階段を目指し歩き、その階段を下った。
左右に分かれ道が見える。右方向を開くと、小部屋と青色の動く植物がいた。
俺は奴を刺激させないように足早にドアを開けようとした。
しかし、その行動が少し遅れたのか奴を刺激させる何かがあったのか、青い植物は俺の足元を掬ったのだった。
こうなってしまったなら、交戦するしかない。
奴には当然目潰しやら眠りの粉は通用しない。となれば、直接殴りかかるしかない。
鉄の盾を使い、直線的に迫ってくる相手の動きを防ぎ、防いだ直後の硬直を狙って長剣を振り下ろした。
相手は本当にゴムで出来ているかのように弾力があり、なかなかダメージが通らない。
そこで俺は、前回の人食い植物相手のように口を狙って貫くことにしてみた。
相手が口を開けた直後に長剣を差込み、大きく振り上げた。
どうやら刺す攻撃には弱いようだ。植物の一部を引き裂くと、ゴム糸のようなものになって動かなくなってしまった。
伸縮性があるヒモ……これは使い道がある。そう思った俺は、盾に括り付けて植物の一部を持ち帰ることにした。
左の扉を開けると小部屋と小部屋をつなぐような部屋に出た。
通路の横にスイッチがある以外は、何も変わったことは無い。
スイッチを押してみると、壁が崩れ金属箱が置いてあったが、生憎俺のザックは物を持てる状態じゃない。
手をつけずに諦めておこう。
更に先に進むと通路に分岐点があり、左側には看板が立っていた。
「スミッティにようこそ! 鍛冶屋と食堂 修理と食事!」と書かれている。
長旅の中では、食料というのは極めて重要な位置にある。
普段は干し肉などを携えていくが、それもいつかは尽きてしまう。
当然補給はしなければいけないが、毒のない動物の肉や野草を探し出して食料にするにはそれなりの知識が必要だ。
俺の場合は、食べられるものが安全かどうかは見た目程度の判断しかできないので、深い知識があるとは言いがたい。
そんなときに、食事が取れるところを見つけたのは狂喜乱舞する他に何があるか。
俺は喜び勇み、その食堂へと足を踏み入れた。
中に入ると、年をとったドワーフが金床の向こう側からこちらを見上げている。
真っ赤に焼けたトウモロコシに、何やら仕事をしながらこういった。
「コンチキショウ! おらぁ忙しいだ、わかんねぇか?」
表情は変えないが申し訳なさそうな口ぶりで、俺は答えた。
「忙しいところ悪いが、ここは食堂だろう。不躾だが食い物を売って欲しい」
するとドワーフの男は、表情と態度を変えて此方を歓迎した。
「おお、お客か。いいぞ、どれにする?」
次々と食材と武器を並べ始めた。焼いたトウモロコシに、焼いた肉……採掘場の中なのに随分と豪勢なものだ。
いや、肉体労働が激しい採掘場だからこそなのか。
「どれに……か。ところで、何故こんなに武器を?」
「書いてあるだろ、スミッティの鍛冶屋と食堂って。ドアの外に出てるだ!
それと、このおらの金床を使って色々修理するだ。勿論、直すもんがありゃな」
「なるほど、だからこんなに武器が多いのか。そうだな、飯を食ってから考えよう。
ところで、この採掘場で何を掘っているんだ? 鉄か、それとも金か銀か?」
ただ黙って飯を食っているのも退屈で仕方ない。
そこで俺は、スミッティーに当たり障りの無い質問をしてみた。
「おら、掘れるだけ掘っちまった。もっと掘るのは無理だぁ!
お、その指輪は……それをおらに譲ってくれねぇか」
「これか。これは暗号を解読できた指輪なんだ。これで飯代をオマケしてくれるならいいぞ」
そういって、俺は解読器の役割をしていた指輪を渡した。
その後、更に質問を続けた。
「この神秘の油って言われているこいつ、何に使うかわからないんだ。
これについて何か知ってることは?」
「そいつぁ錆び落としだ。錆びた鉄に使ってみな」
錆びた鉄……俺は少しの間考えた。
あの橋が上がらない場所があり、鉄の板がある場所にこの油をかければいいのではないかと。
飯も食い終わったところで早速不要物を処分し、武器を選ぶことにした。
戦闘用に作られた斧に槌、それに変わったナイフが数種類、刀身の根元に刃のない部分がある大きな剣や、
刃がまるで炎の形をした大きな剣が売っていた。
意外と広いこの採掘場で振り回すことは可能なものだが……この剣と盾、手放すべきなのか。
今まで使っていた長剣、握りやすく使いやすいのが特徴だが、威力がない。これは買い替え時なのだろうか。
丁度手持ちの金とこの二つを売れば、大きな剣を買うことができる。
そう考え、俺は盾につけたゴムを外してからスミッティーに売り払った。
早速、大きな剣に手を伸ばした。
スミッティーによるとこれは、ツヴァイハンダーという剣で7フィート(2.1m程度)、16ポンド(7.2kg程度)ほどのものだ。
手持ち無沙汰になるものを売ったことで、ザックの容量は先ほどに比べて大きく減ったはず。そこで俺は、あの宝箱をあけるために食堂を後にした。
| 広告 | [PR]ヒートテック 花 転職支援 わけあり商品 | 無料 チャットレディ ブログ blog | |