一体いくつの上り下りの階段があるんだ? いい加減、苛立ちを隠せなくなってきた。
探索の障害となる敵との交戦は無かったが、それでもこの無駄に広い洞窟に嫌気が差してきた。
暗闇の中で光るスイッチを開き、黒いステッキと鍵を見つけたのはいいが、まだ探索する場所は山ほどある。
未踏破の登り階段を使い出てみるも、行き止まりだったり橋が上がっていたりしてどうにもならない。
上がっている橋にはスイッチがあるが、錆付いていて動かなかった。
もう一つの登り階段を使って外に出ると、そこには大きくて醜いトロールが、橋の下から登ってきて目の前に立ちはだかった!
そして大声で唸った!
「おらぁ通行料取るトロール、トール・トロールだ!
料金払わないとお前の頭取るぞー!」
取るトロールのトールトロール? 異国の言葉で、トールというのは「取る」という意味の言葉になる。
それをかけたのだろうか? そんなことを思っていても仕方ない。
いくらなんでも、人間と巨人族の戦士同士では力の差がありすぎる。
人間である俺が正攻法で戦ったとしても勝てるはずが無い。
「ああ、払おう」
「お前さんは賢い!」
金を出そうとザックの中を漁っていたその時、目潰しの粉と妖精の粉があることを思い出した。
待てよ。下は渓谷、そして奴は巨人であり視覚に依存した生き物だ。ということは、人間の俺でも巨人族に勝てる可能性が十分にある。
俺はニヤリと笑いながら、巨人に話しかけた。
「済まない、払おうと思ったが金はないんだ。
その代わりと言ってはなんだ。これを……受け取ってくれッ!」
俺が叫ぶのと同時に目潰しの粉を巨人の顔に向けて投げつけ、盾で殴りつけた。
巨人は悲鳴を上げながら顔を掻き毟り、一瞬よろめいた。
突然の不意打ちに怒りを覚えたトール・トロールは、勢いよく此方へ向けて突っ込んできた。
これを機会に避けて、谷の底まで誘い込んだ。
不用意に突っ込み、谷底へ落ちそうになってバランスを取る巨人を盾で殴り飛ばし、長剣を背中に叩き付けた。
俺自身の攻撃は巨人に対して効果をあまりなさなかったように思えるが、谷底へ落とすには十分すぎるほどの威力を発揮した。
醜い巨人は、盲目により手を岩場に掴むことができず、真っ逆さまに頭から谷底へ落ちていった。
これで以後通行料を取られることなく、通り抜けることが出来る。そのことに俺は笑みを隠せなかった。
先ほど居た巨人、それは航海日誌に載っていたものではないだろうか?
そしてここは、ジャイアントマウンテンと呼ばれるところではないだろうか。
俺はそのように思いながら、先へ進み、山を登った。
山肌には、上のほうに登って行ったと思われる小さな足跡があった。
何度も休憩を挟みながら頂上へ登ってみると、大きな石や岩が辺り一面に転がっていた。
恐らく最近、地すべりか何かがあったのだろう。
そこには大きな岩しかなかった。とはいえ、これが全く役に立たないとは限らない。
持って行こうかと悩んだが、こんなものを持ち歩く程、俺は酔狂な者ではない。
縁が無かったとはいえ、単独で迷宮を彷徨う者がいっても説得力は無いか。
下らなさのあまり、自嘲気味になりながらも、山を降りて洞窟へと再び舞い戻った。
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