ウィザードリィ6リプレイ16

エレベーターを降りてトンネルを抜けて山から出ると、目の前には巨大な渓谷が広がっていた。
いくつもの橋が、網の目のように谷の間に渡されている。
そして頭上、遥か彼方には、渓谷の真ん中辺りの最も深い谷から立ち上がる壮大な山の頂が窺えた。
左右の細い分かれ道がある。どちらも先は山に覆われているので、どちらを選んでも変わらないだろう。どうせ探索するのだから。
とりあえず、気分で右の道を選んだ。

細い道は非常に長く、体力気力を失いながらも、注意深く歩いた。
両側から覗く深遠に飲み込まれでもしたら、堪ったものではない。
前方には巨大な山の頂がおぼろげに見えている。
そのゴツゴツした岩肌と数ある割れ目は、この先頂上への行程が、かなり厳しいものになることを予感された。
まだ頂上どころか登山すらしていないが、これは辛い。
大して暑くもないのに全身から汗が噴出し、胴体と左腕、両脚にけだるさを覚えてきた。
何度か休憩を挟みながら渓谷を歩いていくと、僅かな冷気を放つ青色の壁をした洞窟への道があった。
この渓谷の半分も歩いていないが、書き加えた地図が正しければ、西方向から方向転換して何時の間にか東方向へ歩いている。
今更渓谷を埋めるために戻るのも面倒だという理由で、洞窟へと足を踏み込んだ。
中に入ってみると、先ほど感じていた僅かな冷気は全くと言っていいほど無い。
屋外の外気との差だろうか。そんなことを思いながら、階段を下りずに地図を埋めるため歩き回った。
一応洞窟の中は明かりがある。城の中でも使わなかった明かりをまだ使わなくても問題ないようだ。
少しずつ地図を埋めるために歩いていくと、明かりすら通さない暗闇のトンネルを見つけた。
中に敵はいないか確認するべく、ところどころにある小石を軽く投げつけ、その音を頼りにして進んでみた。
洞窟のところどころに木製の支柱があるということは、確実に人の手が加えられた場所であることは間違いない。
暗闇を抜けて北方向を歩いていくと、鉄格子や人を拘束するための金具がある。この洞窟は監獄だったのだろうか。
部屋を一通り探してみたが、めぼしいものは何一つ見つからず、今のところ無駄足だったようだ。
暗闇をもう一度抜けて探索していると、登り階段が見えた。

登った先を振り向いてみると、次のような文字が書かれていた。
「採掘場入場の場合、常時保護ヘルメット着用のこと」
ここはどうやら監獄ではなく、採掘場のようだ。専用のヘルメットは被っていないが、皮製の兜は被っている。
大きなものは兎も角、小さな落盤なら防げるレベルだ。
通路のほうへ振り向き、再び渓谷を歩き回った。
すると、今度は城から来たときの道へ戻ってきてしまった。
初めから左を選んでおけば無駄足にならなかったか。そのようなことを感じながら、俺は再び採掘場へと潜って行った。


ウィザードリィ6リプレイ17
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