ウィザードリィ6リプレイ12

地下二階まで来ると、空気に湿り気があり不快な気分にさせるためか人の気配が無かった。
しかし、何かジェル状のものが動いている音は聞こえる。
紫色と緑色のドロドロとした粘着性物質が床で蠢いているのを発見した。
これはスライムと呼ばれるもので、通常は天井などに張り付いて獲物を待っている。
獲物がきたらベチョリと落ちてきて張り付き、標的を溶かしながら自らの体の一部とする生物だ。
鎧なども意味をなさない。一度取り付かれたら対処方法は己の身が焼かれるのを覚悟の上で、火で焼き尽くすしか方法は無い。
放っておくと数分で標的はスライムとなっているだろう。剣などではダメージを与えることは出来ない比較的強力な生き物だ。
現在の自分の装備では、対抗する手段はない。
遭遇しないことが最良の回避方法だが、今はそんなことを言っていられない。
ゆっくりと敵に感づかれないよう、通路を歩いた。
通路の突き当たりまで歩くと、これまで歩いた通路は深い闇に包まれてスライムもその姿を確認できなかった。
左手にはドアがあり、黒い鉄製のしゃれこうべが表面につけられている。
その顔はまるで通路をにらみつけているようで、目のところにはかなり深い穴が開いている。
まるで、昔は一組の宝石が埋め込まれているようだった。
生憎宝石の類は持ち合わせていない。このままでは開かないということは、宝石を着けなければならないのだろう。

通路を戻っていくと二つの鉄格子を見つけた。
登り階段近くの鉄格子は開かなかったが、それと髑髏の扉の間にある鉄格子は金の鍵で開いた。
壁や床には無数のスイッチらしきものがつけられた部屋に出た。
歩いていくごとに床に穴が開いたり閉じたりする。随分と変わった部屋だ。
歩くごとに穴が増えたり閉じたりするが、閉じるのは最初の一回で後は徐々にスイッチを押すことにより埋まっていった。
最終的に壁のスイッチを押すことで、宝箱が現れた。
箱を開けると、雄羊の表紙がついた本とマント、黒い飾り、蘇生の巻物が見つかった。
マントはまだ使えるようだ。黒い飾りは何か魔法的な効果がありそうだ。蘇生の巻物は無用の長物なので売り払おう。
問題はこの本だ。これをもってあの祭壇の上まで行けば何かあるはずだ。
そう思い、二階にある祭壇まで向かった。

祭壇の上で古代の本を開き、その文字を読み始めた。
「一夜目に雄羊、次なるもまた雄羊、祭壇の上、輝く光に三なるものを求め、
四なる夜の杖、五つに再び魔の光、これ祭壇を地に沈め夜に花開かん!」
本の腐敗がひどく、ページをめくると崩れ落ちてしまった。

これは山羊のスイッチを二回押し、輝く光というのは炎、夜の杖というのは魔法の杖、
魔法の光というのは炎を表しているのだからこの順番だろう。
スイッチを順番に打ち込むと予想は的中したようで、祭壇の表面がへこみ始めた。
祭壇の表面が大きく開き、中から暗闇に通じる穴が現れた。
穴の中に飛び込み、ドサッと言う音と共に落下した。さほど重い装備を持って落下したわけではないので、脚に負担はかからなかった。
目の前の門の格子が開き、向こう側で何かが動いているのが目に入った。
門の向こう側で何かがまたもや素早く動いた。
それが矢のようなスピードで襲ってきたとき、唯一目に映ったのは、何かが動く微かな残像だけだった。
全長10フィートほどの巨大な矢の正体は、緑色の大蛇だった。
脚を噛付かれ、鋭い痛みと共に何かが流し込まれるような感覚がし、鈍い痛みが続くようになった。
噛付いているその一瞬、大蛇の動きが止まったので俺は即座に目潰しを投げつけた。
大蛇は鎌首をもたげ、怯んでいるようである。好機は今だと感じ、即座に胴体を何度も長剣で叩き付けた。
最初こそ恐ろしい速度で動き回っていたが、ダメージを与えるにつれ動きが鈍くなっていく。
突き刺せるほど鈍い動きになり頭が垂れてきたので、長剣で深くまで頭部を突き刺し引き裂いた。
大蛇の頭から大量の血が噴出し、返り血を浴びながら崩れ落ちるのを見届けた。
毒を持つ生き物自身にはその毒の抵抗を持っている。
つまりその返り血を浴びることで毒を消すことが出来るようになるのではないかと考えたが、そう上手くは行かないようだ。
素直に毒消し魔法の薬を飲み傷薬を使い、身体の不調を治した。
腫れて青紫になった傷口は徐々に元に戻り、軽い傷程度まで収まった。
これでまた探索へ移る事ができる。開いた鉄格子の門を通って地下へ向かった。

地下の通路はいくつにも分岐しているが、どれも鉄格子で通れない。
唯一つ通れる場所と言えば、「*危険地帯*」と書かれた坑道だけだった。
恐る恐る坑道に入って行き、東から順番に探索を続けていくと、巨大なミミズが現れた。
頭からかじりつこうとしてくる黒光りする大ミミズだ。
目にすることすら気分が悪いが、動く死体ほどではない。
頭を狙い飛び込んできた瞬間、両手に持った長剣で迎撃した。
ミミズは長剣に突き刺さり引き裂かれた。
通路の袋小路まで来ると、沢山の骨がこの怪物の住処に転がっていた。
ここの怪物が、かなりの大喰らいだったのは間違いないだろう。
ここにムリヤリ引きずりこまれた犠牲者の遺物の欠片もいくつか残っていた。
破片の殆どはただのゴミになってしまっていたが、まだ使い物になりそうなものが一つ見つかった。
それはつるはしだ。これで壁を掘ることができる……そう思い近くの壁につるはしを突き立ててみたが、崩れそうもない。
もっと柔らかい壁を崩すのに使うためのものらしい。

別な通路を歩いてみると、散らばった骨を見つけた。
散らばった骨々は、少し冒険が過ぎた哀れな人々の末路を語っているかのようだった…
骨の間を探ってみると、気になる鍵が見つかった。

壁を調べてみると、最近そこを掘り返し、更にその後を石で埋めた後が見つかった。
まるで誰かが通路を掘り、そのあとを塞いでいったかのようだった。
つるはしで壁を崩した後ろには、金属の箱が置いてあった。
箱を開けてみると、長い棒、鉄の盾、磨かれた石が複数、飛刃の巻物を見つけた。

更に別な通路を歩いてみると、洞窟の入り口から落ちた石が、トンネルを潜る通路を塞いでいる。
その石はびっしりと積み重なっており、とても手で除けることはできそうになかった。
つるはしを使い、石を砕いて取り除くと、通路が元のように現れた。

トンネルの様子を伺っていると、奇妙な格好をした黒い女性達が目に入った。
顔には白い文様を書き込み、長い槍と盾を持っている。
と、そのうちの一人が突然こちらを指差した。そしてあっと言う間に彼女たちは左の通路へ消え去ってしまった。

彼女たちを追ってみると、目の前にはまるで底なしの落とし穴のような巨大な渓谷が口を開いている。
その谷の向こう側では、奇妙な格好の黒い女性達が、蔓草で出来たロープを引っ張りながら、先を争って崖っぷちから立ち去ろうとしていた。
このままでは進むことが出来ないので、別な進路をとった。
通路の先の頭上には、上のほうに向かっている洞窟が暗闇へと続いている。
足元には小さな動物の骨が散らばっている。この洞窟に澄んでいる翼のある生き物の骨らしい…
何か変わったものは無いかと骨の欠片の間を探ってみると、キラキラ光る金属やガラスの破片が見つかった。
光物が気を引いたのだろう。これで足元に鍵が転がっていたことにも納得がいく。
これで手に入れた鍵は二つ。数ある鉄格子をあけることが出来るだろうか。
それに期待しながら危険地帯を後にした。


ウィザードリィ6リプレイ13
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